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大幅減収の逆風の中、渋谷区3月議会が開会
渋谷区の3月定例議会が2日開会した。提出された議案は当初予算案など32件。18年度の予算では「高齢者対策」「教育の充実」「防犯・防災対策」に加え、少子化に対応した「子育て支援」などが重点課題。あす3日まで各党の代表質問が行われ、議案を各常任委員会に付託。およそ1ヶ月審議を重ね、31日の本会議で採決される予定だ。
桑原区長は所信表明演説の冒頭、現行三段階の累進課税とされていた住民税が一律10%となる結果、東京23区のうち渋谷区など9区が住民税減収となり、特に渋谷区は推計70億円の大幅減収が見込まれる事実を指摘。本来地方分権を趣旨としていたはずの国による「三位一体の改革」が、逆に区の自治を制限している矛盾を批判した。
また今年1月、東京都が「都区のあり方」を検討する都区共同の検討委員会設置を求めてきた事実にも触れたが、その中で都の主張が大都市の総合性、一体性確保に偏重したものであったことも指摘。平成12年の都区制度改革にて、都と区の二層の自治が実現され、それまで曖昧だった都区の役割分担と財源配分の明確化がなされた前提を踏まえ、都の姿勢は「『巨大な自治体がすべてを掌握しきれる』という、『大東京都の残像』をひきずった」ものだと批判した。
本会議では各会派の議員3人が代表質問に立った。最初に質問した自民党の染谷賢治氏は、三位一体改革による大幅な税収減が見込まれるとはいえ、区民へのさらなるサービス向上が必要との立場を示した。その上で旧大和田小跡地施設整備計画など、区の抱える行政課題の多くは長期的な取り組みが欠かせないとして、残りの任期が1年となった桑原区長の続投を、党を代表する形で求めた。
未来の渋谷を作る会の薬丸義朗氏は、今回の予算案の目玉である「ハッピーマザー助成」制度(渋谷区在住の妊婦に上限5万円を付与する、新規少子化対策)について、「出産後、必ずしも渋谷区にとどまるとは限らない妊婦に対して5万円を付与するよりも、成長した子供に対する医療助成を拡大したほうが、少子化に対する効果は大きいのでは」との疑問を投げかけた。
これに対して桑原区長は、「妊娠中、出産後、いずれにしても片方だけでは効果はない。子育ての上で総合的にバランスの取れた環境が必要だ」と回答した。
また薬丸氏は、昨年末渋谷駅前周辺が国から「都市再生緊急整備地域」に指定された結果、同エリアに都市計画上の様々な特例が適用されることを踏まえ、「今こそ渋谷駅周辺地域の開発に本腰を入れるべき時であるにもかかわらず、(既存設備の改良にとどまる案が多く並んだ)現時点の区の計画はあまりに手ぬるい。もっと国や都、民間企業を取り込み大きなうねりを作る努力が必要」と批判した。
区長はこれに対しては、「渋谷区だけではいくらお金があっても足りない課題。これほどの規模の開発は国が行うべき仕事でもある」との見方を示した。
日本共産党の苫孝二氏は、憲法第9条改定問題と武力攻撃事態法・国民保護法に関する問題、さらに増税や医療制度改革に関する質問を行った。
提出された議案は、条例案24件、度補正予算案1件、当初予算案4件、人事案件1件、その他議決事項2件の計32件。
(2006-03-02)
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