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表参道ヒルズと原宿のいま

表参道ヒルズと原宿のいま

 2月11日に表参道ヒルズが開館しておよそ1ヵ月が過ぎた。原宿・表参道地域一帯の活性化を担うと早くから期待された一方、道路渋滞による混乱も懸念されたこの大型施設。開館して多少の時間が経過した今、地元ではどう受け止められているか反応を探った。
 3月3日の表参道ヒルズ正面口。平日昼間ということもあってさすがに来訪者は少ないかと思われたが、ビルに入っていく人の数は相変わらず多い。ファッションへの関心が強い2,30代の人々が主体なのは当然だが、見た目からして高価そうな衣服に身を包んだ熟年夫婦が、「ヒルズ」入居ブランドの紙袋を手に下げて歩く姿もそこかしこに見られる。同地域の商店街振興組合・「欅会」の事務局長・毛塚氏によれば、仕事帰りのサラリーマンらによる夕方の混雑は十分に予想できたものの、平日昼間に来館するこうした中高年層は今のところ意外なほど多く、結果的に昼間の来館者総数も当初の予想を大幅に上回っているという。
 2月11日の開館直後は2万人に迫る数の人が「ヒルズ」見物に表参道を訪れた。一度に収容する人数としては2、500人程度が適当ということだが、その時期は常時4,000名を超えていたとのことだ。当然、テナントのレストランには2時間待ちの行列もでき、諦めてビル外の飲食店を探す人の方が多かったようだ。だが表参道付近にはやや飲食店が少ないこともあって、「ヒルズ」から流れた人の波は青山方面に及ぶことも珍しくない。
「ヒルズ」開館後、今日まで表参道一帯の飲食店売上平均はそれ以前と比べて1.5倍、物販に関しても1.3倍となっており、波及効果はかなりはっきりと現れている。また来館者ばかりでなく、「ヒルズ」には約1,000人の従業員もいる。彼らにしても休憩時の食事に出掛けるのは、「ヒルズ」よりもむしろ外にある、比較的割安な店であるようだ。彼らや一般の来街者が「どこか美味しいところはないですか?」と地元の住民に尋ね、裏通りの安くて美味い店を教わるなど意外なコミュニケーションが発生する例も耳にした。
 約3年前に開館した六本木ヒルズは、周辺にはオフィスしかなく、ビルの外を出てしまうとほかに楽しみがないという声も少なくなかった。最終的にビルそのものより、中に住まう人々のイメージだけが先行した観もある六本木ヒルズだが、表参道ヒルズが違いを生み出せるとすれば、ビルの「中」でなく「外」との関係をいかに築けるかに掛かっているとも言えるだろうか。 
 なお最も心配された車の渋滞だが、原宿警察署によれば小泉首相が見学に訪れた2日や開館当日こそ警備に神経を使ったが、開館翌日の12日には運営元の森ビルから「もう問題なくやれそうだ」との報告を受け、事実その後さしたる苦情も報告されていないとのことだ。
(2006-03-03)

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