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天ぷら油でバスが走る 石油代替燃料を探るNPOの取り組み
来月4月22日(土)と23日(日)、代々木公園にて国内最大の環境保護イベント、「アースデイ東京2006」が行われる。
渋谷区を拠点に活動するNPO「アースデイマネー・アソシエーション」(以下edma)では、その2日間にわたり、使用済みのてんぷら油を集めてバスを走らせるという試みが進められている。様々な企業、自治体と連携しつつ、代替燃料の可能性を探る彼らのユニークな活動を追った。
edmaが提唱するのは、エネルギーの石油依存から脱却しCO2を削減するための方策として、家庭の使用済みてんぷら油を回収し代替燃料に用いることだ。
代表理事の嵯峨生馬氏によれば、燃焼させることで大気中にCO2が排出される点では、てんぷら油と石油はなんら変わることは無い。だが石油の場合元来が地下資源であるため、それを燃やすことは地下で眠っていたCO2を地上にくみ上げ、大気中に拡散させることになってしまう。つまりどれほど消費量を減らせたとしても、石油が地下資源である以上、地球上に存在するCO2の全体量を減らすのは難しいままだ。
だが、てんぷら油は植物性燃料であり、元から地上に生えていたものだ。従ってそれを燃やしても、地上に放出されるCO2の全体量は、油が燃やされる以前より増えるわけではない。言うなれば自然界の循環により近い消費のされ方であり、地球温暖化への悪影響もその分小さい、というのが石油との最大の違いだ。
edmaでは、「アースデイ東京」が行われる2日間、民間バス会社の(株)フジエクスプレスと提携。そこで一般家庭から集めたてんぷら油が同社のディーゼルバスの燃料となり、1日約300人の一般客を乗せて代々木公園周辺を回遊する。なおこのバスの名称は「VDF(ベジタブル・ディーゼル・ フューエル=野菜ディーゼル燃料)バス」で、「BDF(バイオ・ディーゼル燃料)」をもじったものだという。
もちろん避けられない課題もある。バスを走らせるほどの大量のてんぷら油を集めなくてはいけないことだ。現在、廃油の精製も支援している墨田区のリサイクル工場、(有)染谷商事などと提携しながら一般家庭から回収しているが、それだけではやはり足りない。そこで並行して、国連大学・地球環境パートナーシッププラザやグリーンバード渋谷の活動でも呼びかけを行い、廃食油の提供を求めている。
うまくいけば、イベント開催中の2日間だけで約1トンのCO2排出を削減できるというこの計画。普段新聞紙に吸われて捨てられているてんぷら油でこれが実現できるのだとしたら、なかなか痛快なことだ。
なお、イベント当日のステージでは、ボニー・ピンク、ラブ・サイケデリコなどの人気ミュージシャンがライブを行う予定だが、このステージの音響、照明などに用いられる電気も、同じくedma製のてんぷら油を燃料にした自家発電によって賄われることになるという。当日ステージに行かれる方は、そちらにも注目して欲しい。
天ぷら油回収に協力したい方はこちら
アースデイ2006 VDFプロジェクト
(2006-03-15)
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