ヘッドラインニュース
「子どもを育てられない」 渋谷区の親たちが抱える悩み
「渋谷区子ども家庭支援センター」の調べによると、同センターが開設された2004年10月から今年3月までに持ち込まれた全966件の相談のうち、実に51.7%に上る500件が「養育困難」を訴えるものであることが分かった。育児に深い悩みを持つ親が想像以上に多いことを示す結果だが、背景には出産とキャリアの狭間で悩む、渋谷区の女性ならではの事情があるようだ。
渋谷区では育児に関する区民の様々な相談に応じるため、2004年10月より「渋谷区子ども家庭支援センター」(宇田川町5)を開設している。同センターでは開設以来今年2006年3月までに計966件の相談が持ち込まれたが、そのうち半数を超える500件は、なんらかの理由により親が「養育困難」を訴えるものだった。
「養育困難」の多くは親が子どもの育て方に悩み、精神的に疲弊した結果、第3者のサポートなしには子どもと向き合えなくなるケース。特に渋谷区では30代後半で最初の子を産んだ母親に、育児ストレスを過度に溜め込む例が目立つという。
全国の自治体で出生率最低が続く渋谷区においては、区民の平均初婚年齢が高く晩婚傾向でもある。女性も一般に高学歴者が多く、30代後半で初産を迎えるまで職場でキャリアを積んできたという人も珍しくない。だが、その年齢まで子どもに接する機会が少なかった人には、実際に自分の子どもを産んだときに想像以上の戸惑いを覚えることもあるようだ。
「日本では未だに、7割の女性が出産のために退職を強いられている。それまでキャリアウーマンとして自己実現に励んできた人が、出産を境に全く別のことに人生の目的を切り替えなくてはいけないことになる」と、渋谷区子ども家庭支援センター所長である松竹良子氏は語る。
「育児というのは頑張った分はっきりした成果が得られるというものではないので、それまでの人生経験ではありえなかったストレスを感じている人も少なくない。特に核家族の夫婦に対しては、行政を含め地域全体のケアが必要だ」(松竹氏)
こうしたストレスが限界を超えて、虐待という形で噴出する例もある。渋谷区では17年4月から18年3月までの1年間に、身体的虐待15件、心理的虐待3件、ネグレクト(育児放棄)3件の事例が報告された。
子ども家庭支援センターでは虐待に至るまでに母親の精神的・物理的ケアが必要として、17年8月から育児支援のヘルパー派遣事業を開始、授乳や食事の介護など総合的な育児支援を行っている。当初センターでは登録申し込みは半年で60人程度と予想していたが、今年3月までに登録者189人と予想の3倍以上の希望者が殺到しており、小さな子を持つ親たちが疲れきっていることを、改めて裏付けたも言える。
(2006-04-11)
最新記事一覧
- 鎖国の国のGo To トラベルとはいったい何なのか
- 非常事態宣言またもや延長 感染拡大はだれの責任か
- どうなるコロナ対策 非常事態宣言解除後の行方は
- 稚拙なアプリで徹底管理 陰性の帰国者に2週間の自宅待機
- 迷走する政治屋たち COVID-19とオリンピック
- 閉ざされた国ニッポン ワクチンパスポートの考察
- メディアの在り方について
- 警察官としての矜持
- 新スタイルのフラワーショップ「DILIGENCE PA…
- 「銀魂 × TOWER RECORDS」12/24(木…
- 地元 神宮前で話題のオーガニックカフェ「SNOW AN…
- 原宿表参道 百年の灯りライトアップ
- フェンディとアニヴェルセルカフェが表参道でコラボ「フェ…
- 頻発する暴走事故はなぜ起きるのか。
- オレオレ詐欺はなぜ減らないのか