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神宮外苑、2016年五輪メイン会場には不適と東京都判断
東京都は28日、2016年オリンピック開催地に正式に立候補した。都はそれと同時に、メイン会場を中央区の晴海埠頭(写真)に建設する計画を明らかにしたが、これによって国立競技場など神宮外苑の既存施設を利用する案は、明確に却下された格好だ。
2016年のオリンピックを東京都が招致するに当たり、メイン会場をどこにするかは大きな焦点となっていた。最近では大阪市が2008年の五輪開催に立候補したが、その際同市は、メイン会場予定地の夢洲と選手村予定地の舞洲の間に、664億円をかけ連絡橋を建設するなど、多額の資金を投じてインフラを整備した。しかし結局大阪市は招致に失敗、以後市の財政赤字は危機的な域に膨張し、いまなお財政再建団体への転落が危ぶまれている。
従って今回の東京への五輪招致は、大阪のような財政リスクを確実に避ける必要が叫ばれていた。こうしたことから、国立競技場や代々木体育館など、1964年の東京オリンピック以来の既存施設を多く擁する神宮外苑は、メイン会場建設予定地の有力候補のひとつと見られていた。
また神宮外苑は、渋谷、原宿、青山などのエリアの景観改善を目指し行政への働きかけを行うNPO、「渋谷・青山景観整備機構」(理事長=井口典夫・青山学院大教授)にとっても構想の中核を担う地区。従って同NPOにも、神宮外苑を2016年五輪のメイン会場とすることで計画のペースを早めたい意向があった模様だが、それだけに今回の都の決定は、同NPOにとっても失望を禁じえないものだったようだ。
東京都は、メイン会場予定地を選ぶ最優先基準として、五輪期間中に選手、プレスが施設間を短時間で移動できること、とりわけ選手にかかる負担をいかに少なくするかを重視したと説明している。
都によれば、メイン会場を晴海埠頭とすることで、同じ区内の中央区築地の施設をメディアセンターとして利用でき、さらにやはり晴海に近い江東区有明の埋立地には選手村施設を建設できる。従って、地理的にコンパクトに大会を運営できる利点がある。だが一方神宮外苑は、競技会場、選手村、メディアセンターを近いエリアに集めるのが難しく、結果、立地面で大きな後れを取ることとなった。
また、当初比較的手をかけず有効利用できると期待された国立競技場も、IOCが21世紀の五輪会場として求める水準とは大きな開きがあったようだ。国立競技場の現状の観客席数5万6千席に対し、IOCは最低でも8万を求めたと都は述べており、さらにトラックレーンに関しても、現状の8レーンを近年の国際基準に沿った9レーンに増設する必要があったという。
これら基準を満たすための改装費用総額については、都は「積算の途中」として明らかにはしていない。だが、こうしたIOC意向との食い違いによって、神宮外苑の晴海に対しての優位性は徐々に見え辛いものになってしまったようだ。
(2006-05-02)
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