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注目の 「共謀罪」 について、青山学院大・新倉修教授と一問一答(2) 「『大きな枠組』に入ることが目的だ」
(1)より続く
――― 法務省は「共謀罪」制定の根拠を、近年の犯罪の国際化と組織化に対応するため2000年11月国連総会で制定された、「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」に日本も署名し、法整備が必要になったからだと説明しているが。
「そもそもこの国際条約自体が、アメリカやフランスなど一部の先進国の主導で、他国と十分な審議を諮らないまま制定されたという疑念がある。だがそれを抜きにしても、この法案が提出に至るまでの経過には不透明な点が多すぎる。当初日本政府は、国連に対して『この法案は日本の法体系になじまない』と拒否していた。それが何故今のような180度の方針転換をしたのか、政府からは何の説明もない。
以前ある大学院生がその間の過程を知りたいと2000年7月の政府特別会合記録の情報開示を求めたのだが、2000枚に及ぶ文書のうち、肝心の部分はほとんどが黒く塗りつぶされていた。最初は政府も問題のある法案と考えていたはずだが、それが覆された交渉過程について、全く説明責任が果たされていない。となれば、『条約に基づいて』という説明も、根拠はあやふやだとしか言いようがない」
――― そのような政府の動きの背景には、何があると考えるべきか。
「提案に至るまでの経緯を考えると、法案制定の目的も国内の治安を保つことではなく、何らかの『大きな枠組』に入りたいから、と見るのが自然だろう」
――― 最近になって初めてこの法案のことを知り、今まで自分が知らなかったことに愕然としている人も多いはずだ。
「ひとつは政府が周知徹底義務を怠ったからだが、まともに伝えようとしなかったマスメディアの責任が大きいことは言うまでも無い。もし彼らまで自分たちが無関係だと思っているのなら自殺行為だ。共謀罪は政府や警察に都合の悪い記事を書く新聞記者に、ピンポイントで狙いを定めて逮捕することだってできる法律だ。マスコミが一番危ないという見方もできる」
――― 今週が法案可決に向けてのヤマ場と言われている。一般の人が今からできることがあるとすれば、何があるか。
「この局面になると、もはや世論以外のものでは止めようがない。野党議員が委員長席に押し寄せたところで、いざとなれば与党は躊躇せず強行採決してきた歴史がある。だが一般人がたとえ数百人でも議会前に集まれば、野党は踏ん張れるし、与党は怖気づく。そういうものだ。11日の正午に衆議院の第一会議室で一般市民と言論人の協同による反対集会を行うが、たとえ発言などしなくてもそこに集まることは、決して無意味ではないはずだ」
5・11共謀罪の新設に反対する市民と表現者の院内集会
(2006-05-10)
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