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共謀罪制定に反対する、ジャーナリストと市民の集会

共謀罪制定に反対する、ジャーナリストと市民の集会

 今国会で審議中の「共謀罪」法案を巡っては、複数の重要法案審議を前に国会の紛糾を避けたい与党が、9日民主党に対し、法案の共同修正を呼びかけた。民主党では現在対応を協議しているが、同党がこれに応じ自・公・民3党による再修正案が可決されるのか、それとも逆転で共謀罪そのものが廃案になるのか、依然予断を許さない状況だ。
 そんな中11日にはジャーナリストを中心に、どんな形であれ、共謀罪の成立自体許すべきでないとする反対集会が開催された。ここ数日の間に急激に報道される機会が増え、一般市民の共謀罪への関心がにわかに高まったことを反映してか、会場である議員会館会議室は、定員の125名を大きく超え立ち見の参加者も現れた。
 冒頭、野党各党の国会議員が挨拶を行ったが、まず民主党のある議員が「与党案は問題が多すぎる。このままの形では通すわけにはいかない」と発言。大半が共謀罪制定の根拠自体に疑念を持つ人で埋め尽くされた会場は、その瞬間やや冷ややかな空気が流れたが、すぐ後に壇上に立った各ジャーナリストからの批判は、例外なく共謀罪そのものを制定させてはならないとするものだった。

(以下発言の中から抜粋。発言者の敬称は略)


「いまや立法府にいる人達は、自分がどんな法律を作っているのかすら考えなくなっている。彼らはこれを可決させたら、それが何をもたらすのか見通しを持っているのだろうか?私は恐らく、持っていないのだと思う」(吉岡忍 ノンフィクション作家)

「単なる危惧ではなく、今の状況を見れば(法の)拡大解釈は確実に起こる。だが、拡大解釈されなければそれでいいのか?ちがう。僕は嫌だ。自分のやったことで裁かれるなら仕方ない。だが、思ったことで裁かれたくはない。仮に僕が国際的なテロ組織一員だとしても、自分の思っていることで裁かれたくはない」(森達也 TVディレクター、映画監督、作家)

「共謀罪に絡んで治安維持法のことを話すと、非現実的だといわれる。だが治安維持法にしても最初は緩やかに制定され、徐々に拡大解釈がされるようになり、結果、20年にわたって国民を縛り付けた」(野中章弘 アジアプレス・インターナショナル代表)

「冗談すら言えなくなる法律だ」(魚住昭 ジャーナリスト)

「あまりにもファンタジック過ぎる法案なので、最初は『本当にこれを、国会議員たちがまじめに審議するのだろうか?』と思っていた」(吉田司 ノンフィクション作家)

「1999年に盗聴法の可決を体を張って止めなかったことが、ここまでズルズル押し切られてしまったことの最大の理由だ」(寺澤有 ジャーナリスト)

 法案は、自民、民主、公明3党による共同修正が始まることで、明日12日に強行採決される可能性は薄まった。だが、自民党が今国会での成立に執念を燃やす医療改革法案が来週17日に採決の見通しで、同法案採決後は、国会を紛糾させたくない自民党の姿勢が変わることも予想される。
従って共謀罪審議がどのような結末を迎えるかは、今後1,2週間のあいだに世論がどの程度盛り上がりを見せるかに、大きく左右されるものと見られる。
(2006-05-11)

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