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国民病について正しい理解を 講演会「メンタルヘルスを考える」

 今や国民病とも言われるうつ病などの精神疾患だが、一方では患者、病気ともに、未だ社会からの根強い偏見に晒されている。こうしたことから渋谷区保健所では5月末から8月初旬にかけ、精神疾患に苦しむ患者本人や家族、地域社会に向け、病気について正確に理解してもらうための講演会を開催する。
 「メンタルヘルスを考える」をテーマに組まれた講演会は、8月までに全6回を予定。5月24日には、区役所地下1階B会議室にて第1回講演「統合失調症と付き合う」(講師=精神科・心療内科江畑クリニック院長 江畑敬介氏)が行われる。
 その後も、他人とのコミュニケーションができず悩む人々に向けた勉強会(=第2回。5月25日午後2時、渋谷区保健所にて開催)、中高年以降にかかりやすくなるうつ病への対処法を学ぶ会(=第3回。5月30日、午後2時30分より同保健所にて)など、いくつかのテーマを設定した上で複数の講演会を行う。
 平成14年の調査によれば、日本では何らかの精神疾患で医療機関を受診する人は、国民の45人に1人、260万人に上ると言われる。しかしながら社会の側には、まだこれらの患者を受け入れるだけの理解が十分進んでいないのが実情。渋谷区保健所によれば、近所の目を気にするあまり家族が患者を家から出したがらなかったり、あるいは患者自身も病気であることを受け入れることができず、薬の服用を拒否する等のケースが区内でも見られるという。
 精神疾患は患者本人の無気力、怠慢ばかりに原因を求められがちなものだが、近年ではこうした症状が、脳の伝達物質受容体の多寡により引き起こされるといったメカニズムも解明、生物学的な説明も十分可能となっている。渋谷区保健所ではこうした事実を患者本人やその家族、さらに地域社会に知ってもらうことで、症状が重くない早い段階で気軽に精神科を受診できるような環境作りたいとのことだ。


渋谷区保健所
所在地 東京都渋谷区宇田川町1-1
TEL 03-3463-1211(内線2482)

 
(2006-05-15)

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