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"生きづらさ”考えるシンポジウム、12月14日に上智大学で開催
「『生きづらさ』について一緒に考えよう!」というシンポジウムが12月14日(火)午後7時から、上智大学(千代田区紀尾井町)で開催された。
同実行委員会が主催したもので、副題は「自殺と貧困から見えてくる日本」。働きたくても仕事がない、生きる意味がわからない、とにかく生きづらい――などの理由で命を絶つ若者が後を絶たず、20〜30代の死因の1位は自殺ーそして、年間自殺者3万人超といった事態が続くという現状を反映して、会場には800人近い老若男女が詰めかけ、希望の持てる社会に変えていくために、いま何ができるか、何が必要かを、ともに考えた。
はじめに、自殺未遂4回という青年が「差別や偏見でなく、血の通った対策を」と訴えるとともに、「5度目の自殺を防ぐために、いま当事者活動をしている」と、自らの体験を語った。また、中学生のとき、父を亡くした30代女性も、学校でのいじめや家族がバラバラになってしまったことなど「自死遺族としての生きづらさ」を語り「タブーのない社会を」と訴えた。
シンポジウムには香山リカ(精神科医、立教大学現代心理学部教授)、清水康之(NPO 法人自殺対策支援センターライフリンク代表)、高木慶子(上智大学グリーフケア研究所長)、湯浅誠(反貧困ネットワーク事務局長)の4氏が登場。僧侶でもある中下大樹さん(いのちのフォーラム・絆ネットワーク代表)のコーディネートで、率直に語り合った。
香山さんは「生老病死という自然の営みが、普通にできない時代になっており、生きづらさに加えて、“死にづらさ”の相談が多い」と指摘、清水さんは元NHKディレクターの経験も踏まえて、「誤解と偏見ではなく、社会的に遺族支援を」と強調するとともに、「失望したところで良くならない。自殺防止で年間2・7兆円の効果」と、経済メリットの側面からも対策を訴えた。
また、高木さんは「人類はみな“送り人”。エゴでなく、家族を大切に後継者育成を」と語り、湯浅さんは「貧困と自殺は根っこでつながっている。都知事は今年、年越し派遣村をやらないというが、何もしないで済むのか。まだ決まっていないが、水面下であらゆる可能性を探っている」と、当面の取り組みへの質問に答えた。
併せて行われた出版物のサインセールの収益の半分は、貧困・自殺問題への活動資金に充てられる。
参加した若い女性は、「大切な友人の自死に直面し、“生きる”ということについて改めて考えさせられました。ただ生きているだけで幸せだと思える社会、ただそこにいてくれるだけで嬉しいと伝えてくれる仲間や家族の存在が、私たちには必要。自分に何か出来ることはないか、身近な可能性から探っていきたい」と、感想を語っていた。(2010-12-14)
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