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「モデルに興味はありませんか?」 街頭スカウトの言葉の裏(2)
(1)からつづく
未成年者が保護者の同意を得ずにした契約は比較的容易に解除できる制度があるため、これら業者も明らかにティーン年代と見える人はターゲットから外す傾向があるという。従って現在、こうした手口に最も狙われやすいのは20代前半の女性。街頭アンケートの多くが「あなたの年齢は?」で始まるのも、こうした理由があるからだそうだ。
より悪質なものになるとアクセサリー購入契約ばかりでなく、それと同時にモデル契約した女性たちが、同じアクセサリーを売るようにと定める代理店契約書にサインさせてしまう例もある。これにサインをしてしまった場合、通常のクーリングオフよりも契約解除が一気に難しくなってしまうようだ。さらに、「そんな金額は払えない」と主張する女性に対しては、消費者金融から無理にお金を借りさせることもあるという。
ある消費者センターによれば、こうしたキャッチセールスに引っかかりやすいのは「はっきり意思表示ができない人」や「人を信用しやすい人」。さらに目的地に向かって早足で歩いている場合などは声をかけられにくいが、表参道や竹下通りなどで、特にどこかの場所を目指して歩いているのではなく、「なんとなくぶらぶらしている」といった人は、業者側にしてみても非常に声を掛けやすいようだ。
その後いくら待ってもモデルの仕事など来ず、騙されたと知ることになる女性たちだが、その局面になっても誰かに相談せず、泣き寝入りしてしまうことが非常に多いと言われている。その背景には、「騙された自分にも非があった」「(自分の容姿で)モデルになりたいと思ったことを知られたくない」といった心理が働くからとも見られている。またモデルとして契約した際に氏名、住所ばかりでなく、顔写真まで撮られていることから恐怖感が先立ち、第三者への相談を余計に控える傾向もあるようだ。
消費者センターのある相談員によれば、「消費者は『消費者契約法』によって守られています。だから相談の中でひとつでも業者側のおかしな点、たとえば途中で「帰りたい」といったのに帰らせなかった(=「退去妨害」)、契約者にとって不利益なことを業者側が「故意に」言わなかった(=「故意の不告知」)などの点があれば、それを糸口に解約交渉はできるんです」と語っている。
だが、昔からこうしたセンターの利用率は、被害者の全体数から見れば極めて低く、それぞれの個人的な理由から泣き寝入りしてしまっている例が圧倒的に多いと言われている。日ごろ相談に当たる相談員の多くも、そうした感想を持っているようだ。取材の途中にも、「(相談者の周囲の状況などを聞く限りでは)まだ9割以上の人が泣き寝入りしているという実感がある」という言葉が相談員の口から漏れた。「本当はこうした街中での勧誘は一切無視するのがベストだが、現実として騙されてしまった場合、自分を責めたり恥ずかしがるより先に、とにかくまず相談に来て欲しい」ということだ。
全国の消費者センター(2006-06-01)
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