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攻めの都市農業へ　　農業祭契機に新たな決意示す

攻めの都市農業へ　　農業祭契機に新たな決意示す

　東京の農業を広くPRする都内最大の農業イベント「東京都農業祭」（東京都農業祭実行委員会主催）が2日、大振りの雨が降りしきる中、明治神宮宝物殿前広場で開かれた。
　須藤正敏東京都農業共同組合中央会会長は、今年は日本の農業が大転換期を迎えることとなったJA改革やTPPの大筋合意などを踏まえ、悲願の「都市農業振興基本法」の制定を喜びつつ、「やるしかない。都市農業は多くの魅力がある。その魅力を最大限引出し、攻めの農業を推進していく」と決意の表情を見せた。そのためのJA東京中央会の戦略として、�‘擦留愍ι覆粒惺擦悗瞭各�促進と食育の推進��2年後の完成を予定し建替えが進んでいるJA東京南新宿ビルの1，2階を活用した情報発信と交流事業の推進��西多摩地区の遊休農地の有効活用とグリーンツーリズムの振興に取組むとした。
　開会式では、須藤会長が「今年は農業改革があったが、都市農業を盛り上げていきましょう」と出席者を鼓舞。山本隆東京都産業労働局局長は「国会で都市農業振興基本法が制定され、制度改革に着手している最中とのことで大変心強く思っている。東京都でも現在、東京ブランド推進キャンペーンを進めており、農畜産物を世界にPRしていく機会にしたい」と挨拶し、各来賓らも悲願の「都市農業振興基本法」制定に対する喜びを語った。
　また、「都市農業振興基本法」の立案から関わってきた中川雅治参議院議員は、「都市農業振興基本法が制定され、都市農業特区も提案されているところだ。都市農業を更に発展させていく」。同じく同法立案から関わってきた高木陽介衆議院議員も「都市農業振興基本法が制定され一歩前進した思い。ミラノ万博でも「日本館」は大人気で、和食は世界で注目されている。TPPが決着し、攻めの農業となる大きな契機となるよう、都市農業を発展させていきたい」と意気込みを語った。

　開会式終了後、各JAで生産している農産物を積んだ軽トラックが次々に会場から出発し、JR新宿駅周辺をパレードした。
　品評会会場で出品された農産物を見回っていた稲城市在住の女性（55）は「東京にこれだけの種類の立派な野菜があるとは知らなかった。周知のためにもっと大々的にPRした方が良いと思う。近所には無人の直売所があり、取れたてで美味しく安価な野菜が販売されているので、近所の人たちとそこで購入している。TPPが大筋合意され、海外から安い農産物が輸入されても、安心安全な農産物を選ぶ」と感想を述べた。
　また、JA東京みなみの女性組合員（60）は、「農業従事者が高齢化しているため、農作業ができず遊休農地となってしまっている。そこを体験農園として貸し出すなどして人を呼び込むことは良いことだ。知り合いにも創意工夫をして農地を活用し、活性化させている農家も増えている」とJA東京中央会の今後の取組みに賛同した。
　JA東京みどりの男性職員（29）は「都市農業の場合、特に直売所においては、消費者が近いというメリットがあり、地産地消の強みが生かせる。また、インターネットを活用した情報発信などアイディア次第でいくらでも可能性を広げられるため、都市農業は若い農業従事者にとっても魅力ある」とやりがいを語った。
　44回を数える今年も、JA東京中央会をはじめ都内各JAが一堂に集い、丹精込めて作った野菜や花卉など農産物1500点の品評会や即売が行われた。今年の品評会では、国分寺市の濱仲充さんが生産したナスが農林水産大臣賞（技術・ほ場の部）を受賞。「今年の4,5月は、天候不順に見舞われ、苗の生育状況に影響したようだが、昨年より多くの農産物を出品して貰った。良質な品質管理の努力の成果だと思う」と同実行委員会は評した。

　１１月２日は「都市農業の日」に決まった。ＪＡ東京中央会が、都市農業振興基本法の成立を機に、都市農業への注目を高め、ひいては日本の農業全体を盛り上げる契機にしようと、一般社団法人日本記念日協会に申請した。加瀬清志同協会代表理事は「都市農業の素晴らしさを改めて見直す機会として頂き、美味しく安全な農産物を創っていただければ」と祝辞を送った。須藤会長は「東京の農業を創る礎にしたい」と挨拶した。
（2015-11-03）

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