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「ゴミのポイ捨てカッコ悪いぜ!」 清掃通じ日本独自の文化を世界へ
「ゴミのポイ捨てカッコ悪いぜ!」。軽快なキャッチコピーで、ゴミ拾いの活動を世界中で展開しているgreen bird。「きれいな街は、人の心もきれいにする」をコンセプトに誕生した原宿表参道発信のプロジェクトだ。誰もがいつでも参加できるよう強制は一切ない。友達づくりでも、合コン目当てでも、参加目的は何でも良い。「『ゴミやタバコをポイ捨てしない』と宣言すれば誰もがgreen birdのメンバー」という気軽さが、活動の輪を広げた。2002年の立ち上げから現在、国内外に85のチームが発足。これまでに約33万人が参加した。
「気軽に参加できるのがいい」とGAPジャパンに勤務する坂間敬二さん(48)は、同社で実施しているボランティアコンテストの事業の一環としてグリーンバードの活動に参加。「ゴミ拾いをしている姿を通行人に見てもらうことで、まちにゴミを捨てづらい空気をつくり、ゴミを捨てする人を減らすという理念にも共感できる」と話す。7年前から活動に参加している天内理恵さん(34)も「地方から上京したので、友達が作りたくて参加。居心地が良くてずっと続けている。参加当初と比べ、ポイ捨てが少なくなった。活動が認知されてきたことを感じる。一回でも参加することで、継続した参加はなくても、ポイ捨てすることへの罪悪感が生まれると思う。そのことが重要」と語る。green bird事務局の土屋有里恵さん(28)は、「渋谷のセンター街も、私が中学生の頃とても汚かったが、green birdが活動するようになって今ではほとんどゴミが落ちていない。人の意識が変わり、街が変わった」と積み重ねてきた活動の成果を説明した。
その意識は海を越え、世界中に広がった。現在、世界各地で10チームが活動している。10年前に発足したパリチームは、当初、日本人数人で活動を始めたが、今では現地の人も参加し約70人まで増加。うち現地人は9割だ。「海外では、清掃活動は国の税金で請け負われる仕事の一つ。当初、『仕事を奪うな』など批判的な意見が寄せられるかと懸念していたが、現地での反応はむしろ素晴らしい活動だと歓迎された。人々の意識が変わり、『清掃』という日本独自の文化が評価され、受け入れられている。清掃を住民が生活の中で当たり前のこととして行うようになれば、その分の税金を他の事業に使うことも可能だ。清掃という活動を通し、日本の精神文化を世界中に広げていきたい」とgreen bird副代表の福田圭祐さん(27)は手ごたえを語る。そして、2019年ラグビーW杯、2020年東京オリンピック・パラリンピックは、この日本独自の文化を発信するチャンスだとし、「日本が綺麗で清潔な国だと分かれば、日本に来てくれる人が増えるはず」と期待を寄せる。
目下の目標は、2020年までに世界中で100チーム立ち上げること。しかし、真の意味でこの活動を継続させていくためには、「自分たちのまちは、自分たちでキレイにする」という概念を次世代に定着させていくことが必要だという。そのためにも「同様の活動をしている団体と連携しAll Japanの体制を構築すること、ゴミ拾いの活動を通じて社会的課題まで解決し活動を社会に広く波及させていくこと、NPOの概念を変え社会的地位を確立すること、若く有望な人材に仕事として選択して貰えるよう稼げる事業体に成長させることを実現させなければならない」と福田さんは自身のミッションとして奔走している。
『清掃』は、私たちの日常生活の中で、当たり前のこととして手掛けられてきた。その当たり前の取組が、若者たちの活動により、人の意識と街を変えた。そしてその精神は、日本独自の文化として新たに世界中へと広がりを見せている。
(2017-09-24)
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