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事件記者シリーズ 暴力団抗争 駆け出し編2
頭に数発の銃弾を撃ち込まれたK組長は奇跡的に一命をとりとめた。しばらくは、Mという幹部が代行を務めたが、およそ半年後には「現場」に復帰。その後全国指名手配になった。
そんなある日相棒がネタをつかんできた。K組長が地元のゴルフ場に現れ、プレー。なんとホールインワンをしたという情報だった。半信半疑のまま、このゴルフ場の支配人と会い、話を聞いた。はじめは「お客さまの情報は」と渋っていたが、犯人隠匿罪になりますよと話したら、渋々口を開いた。その情報は事実であった。
その足で警察の副署長席に行き、情報を提供するとともに、記事にしますと宣言した。このT副署長は嘘つきの前任者の後任。警備畑の出身。一般的に警備系の警察官は紳士が多い。彼も「役者」だった。「どうぞ」と笑みを浮かべていったので、肩すかしを食らった格好で社に戻った。
「警察の捜査をあざわらうように全国指名手配中のK一家のK組長が」と社でリードを書いていた時、背中をポンポンとたたかれた。振り返ると、T副署長が立っていた。「ちょっと話があります」。上司とともに、会議室で話を聞くことにした。彼は「私は記事にしてもらって一向にかまわないが、I署長があと半年で退官。仲がいいのだろうから、頼んできてもらえないかといわれた」と話した。人扱いの上手い彼は一旦どうぞという姿勢をみせ、情に訴えてきた。大した役者だ。
逃走中の全国指名手配犯が地元に戻り、ゴルフをしただけでも問題だが、さらにホールインワン。警察の失態を追求するには格好のネタだったが、結論はボツにした。背景にはいくつかの要素があるが、私自身もこうした現象面的なネタはそれほど興味をひかない。いまのくだらないワイドショーだったら、連日鬼のようにテレビでたれ流すだろうが。
調査報道。独自取材をもとに裏をとり、自己責任で告発すること。個人情報保護法などわけのわからない法律などができ、取材はしずらいだろうが、メディアは調査報道を続けてもらいたい。ちなみにこの件はただ、ネタが転がりこんできただけで、決して調査報道ではない。だけど、地道な取材活動を続けないとこうしたネタもはいってはこない。
(2017-11-28)
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