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ふるさと納税導入から10年 都市部の税収減が顕著に
ふるさと納税の導入開始から10年を迎えた。寄付金で豪華な返礼品が受け取れるとあって利用者は急増。平成28年度の利用件数は1271万件で、納税額は2844億円。平成25年度の利用件数は43万件で、納税額が146億円だったのに対し、3年で19倍に拡大している。
地方自治体では、人口減少や高齢化の進行により地域経済が弱体化し、税収の減少は死活問題だ。そのため、地方自治体は、ふるさと納税を利用して税収増に繋げようと、各地がこぞって返礼品合戦を繰り広げている。
一方で、特産品のない東京都などの都市部においては、ふるさと納税の利用率が上がることで地方都市への税金流出が深刻化しており、平成28年度には世田谷区から30億8千万円、港区では23億5千万円、杉並区からは13億9千万円の税金が流出している状況だ。東京23区の区長でつくる特別区長会は2月、ふるさと納税の減収額が18年度予算案の見込み額で312億円に達し、207億円の減収額だった17年度予算から100億円以上増えることなどを踏まえ、都市と地方の税源偏在是正策に反対する緊急声明を発表した。
また、都市部においても対抗策を打ち出す自治体が出てきた。文京区では、困窮家庭に食料などを宅配する「こども宅食事業」の財源をふるさと納税で賄うとしたほか、世田谷区は、渋谷から二子玉川園間を走っていた路面電車「旧東急玉川線」の車両の補修費をふるさと納税方式で募っている。特定の政策を対象とすることにより、返礼品に頼らない新たなモデルケースを打ち出している。
地方自治体間の競争が激化し、寄付金額の半分以上が返礼品の調達に使われてしまうという事態に陥っている状況を踏まえ、総務省は昨年4月、寄付金に対する返礼品の額を3割以下にするよう自治体に通知。換金性の高い商品券や家電製品を控えるように求めた。この通知により見直しに一定の効果はあったものの、継続する自治体もあるため、総務省は今年4月、返礼品を地場産品に限るよう新たな通知を出した。ただ強制力や罰則はないため、見直しには限界もあると見られている。
(2018-04-30)
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