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「モデルの仕事斡旋」の悪質キャッチセールス摘発 街の長年の課題に区切り
原宿や表参道を歩く若い女性を「モデルに興味はないか」などと誘い、高額貴金属を売りつけていた業者「アクトジャパン」(渋谷区神宮前4)が、8日摘発された。街の風紀悪化を重く見た地元商店会らの働きかけがきっかけとなったもので、商店会にとっては十年来の戦いの末の勝利。複数あるキャッチセールス業者の中でも特に悪質といわれる同社の摘発は、原宿の街にとってもひとつの区切りと言えそうだ。
この日「特定商取引法違反(不実の告知)」の容疑で逮捕されたのは、渋谷区神宮前4丁目の宝石販売会社「アクトジャパン」の松本利紀代表取締役社長(38)ほか従業員ら7名。 調べによれば同社は昨年6月30日から今年2月15日までの間、原宿と渋谷を拠点に、江戸川区の派遣社員(21)ら8名の女性を勧誘。実際は発注などしないモデルの仕事と引き換えに、100万円前後のアクセサリーを売り付けた疑い。さらに2004年9月から今年8月までの実際の被害は、人数にして約470人、被害総額にして約2億8000万円に上るとも見られている。
同社の手口はモデルの仕事を誘い文句に、路上でのキャッチセールスを実施。女性らを事務所まで誘い込んだところで、「実はモデルとして働くには、100万円前後のネックレスを買ってもらう必要がある」と告げるもの。この際、「みんな月3,4回のモデルをするだけで、2〜5万は稼いでいる。だから返済は心配ない」と説得。被害女性らも易々とその言葉を信じるわけではないが、威圧的な雰囲気の中2時間から5時間も拘束されるうち、仕方なく契約書にサインしてしまうという。
地元商店会では古くからこうしたキャッチセールスを問題視。近年は特に手口が悪質化したことから、「このような目に遭った人は、二度と原宿には来たくなくなってしまう」と危機感を強めていた。
商店会のひとつ「原宿表参道欅会」が平成12年頃調査したところでは、当時特に悪質と見られていた某業者による被害だけで年間百数十件。だが、各種のヒアリングから推計される実際の被害件数はその50倍から100倍にも上った。こうした事例では被害者の多くに「モデルになりたがっていたことを知られたくない」という心理も働き、ほとんどの場合泣き寝入りしてしまうという。
近年欅会らは、これら悪質キャッチセールスへの抜本的対処を警察に要請。今年3月にはアクトジャパンに対し初の捜索の手も入っていた。
「悪質な業者はまだほかに無数にある」と見る向きも多い原宿界隈。だが、被害件数などの点で特に目立つ存在だった同社の摘発が、少なくとも一定期間街に好影響をもたらすことは間違いないと見て良さそうだ。
(2006-09-08)
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