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元日銀マンが語る中央銀行の内幕(1) 「日銀インサイダー」著者・本吉正雄氏
総裁・福井俊彦氏の村上ファンドへの出資が明らかになるとともに、一斉に国民からの非難に晒された日本銀行。だが今やそのほとぼりも冷め、福井総裁が日本の金融政策を手綱を何ら代わることなく握り締めているのは周知の通りだ。
「金融政策の独立性」という錦の御旗のもと、行政・立法・司法も、主権者たる国民も介入できない「第4の権力」中央銀行。だが、他のあらゆる権力からの介入を逃れたこの機関を「野放しにするのは危険だ」と説く人物がいる。ほかならぬ日本銀行から作家に転進した本吉正雄氏(写真)だ。このほど著書「日銀インサイダー」を上梓、非公式に行われる「窓口指導」の内幕も暴露した本吉氏に、知られざる日銀の危険性について話を聞いた−−−
本吉氏の主張は、端的には「今のままでは、日銀は来るべきインフレを防げない」というもの。だがこの主張に耳を傾ける前に、まず「インフレとは何か」について理解しておく必要がある。日本銀行の定義によれば、インフレおよびデフレとはすなわち「お金とモノ(サービス)のバランスが崩れること」。世の中に流通するカネとモノのバランスが釣り合っていれば通貨の価値は安定するが、国内におけるモノの総量に対しカネが多すぎればインフレ、少なすぎればデフレとなる。
日銀は現在、量的緩和政策を採用し市場への通貨供給量を増やしている。これをより単純に表現すれば、今まで控えていた貨幣の印刷を大量に行っている状況だ。このカネは日銀が直接企業に廻すわけではなく、民間の市中銀行に託され、そこからの融資の形で企業に辿り着く。だが、市中銀行は不況下においてずっとそれをしてこなかった。融資が不良債権化するリスクを避け、企業に貸すよりも安全な国債を買ってしまったため、結果的に国にお金を返していたというのだ。
本吉氏の分析では、これまでインフレが起こらなかったのはこの循環があったからだが、景気が上向き傾向となった今、銀行は企業への貸出を増やし始めている。
本吉氏によれば、デフレ期に銀行が貸出を抑えたのも、逆に今貸出が増えているのも、全ては日銀の行動に原因がある。次回は、大半の日本人の知らないところで日本の金融政策に絶大な影響力を及ぼしている、日本銀行の「窓口指導」システムの実態に迫る。
(2)に続く
「日銀インサイダー」
(2006-10-20)
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