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ルーブル・アブダビ建設へ 美術館の国際化
アラブ首長国連邦にルーブル・アブダビ美術館建設決定
ルーブル・アブダビと名づけられた美術館をアラブ首長国連邦の首都アブダビに近いサディヤット(Saadiyat)島に2012年を目処に建設するという大規模なプロジェクトに、3月6日フランスの文化相が調印し、新聞やテレビを通じ大きな話題となった。
巨大なドームの中に出来るいくつかの文化関連のパビリオンのひとつとしてオープンされることになったもので、会館後は、向う10年間はパリのルーブル美術館から送られてくる美術品を定期的に入れ替え、その間に首長国連邦側は自分自身のコレクションを揃えていくという構想と報道された。
この動きは、ルーブル美術館の館長によれば「文化の国際化」の流れを汲むもので、英国博物館やエルミタージュ美術館も海外に展示館を開館し、パリのポンピドー・センターも2010年上海にその展示館をオープンすることになっていて、当然のことという見方をしているようだ。
ルーブル美術館は、もともと王宮であった建物を、フランス革命後の1791年以来美術館として芸術家や市民に開放してきた。美術館によれば、現在通常およそ35,000点を館内に展示しているが、それは所有する数々の美術品の10%足らずで、残りの90%はリザーブとして保管されているとのことである。美術品をローテーションしながら貸し出したとしても、パリのルーブル美術館の展示に対する影響はないという。
また、アラブ首長国連邦から受け取ることになっている多額の報酬は、修復費が賄えず、展示の日の目をまだ見ずに保管されている美術品の修復費用に当てられるとのことで今後が期待されている。
しかし、ル・モンド紙などによれば、この動きには大きな反対意見も上がっており難しい局面もあるようだ。主な否定的意見としては、芸術を商品化しているという批判で、金と引き換えに芸術作品を提供するという姿勢を問題にしている。これには、大臣はじめ賛成側は、別に美術品を売り渡すわけではなく、文化の国際交流の一環としてやるのだからとポジティブな面を強調している。
また美術館の解説員の中には、確かに保管されて眠っている美術品は多いが、その多くはまだ修復を要するものであるということ、また美術品は移動させるたびに傷むという点、アブダビの湿度など環境的な要因などを鑑み、美術品そのものの保存に対する影響を危惧する声も上がっている。
その一方で、外国の美術にアクセスの機会が少ない地域から見れば国際理解にどれだけ貢献するかを考えると、賛否両論にそれぞれ理があり、一言で割り切れない問題だ。
パリのルーブル美術館ウェブサイト:
http://www.louvre.fr/llv/commun/home_flash.jsp?bmLocale=ja_JP
(2007-03-12)
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