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シリーズ「食」第2回　私達は何を食べているのか��

シリーズ「食」第2回　私達は何を食べているのか��

◆「有機野菜＝安全」は幻想

　ナチュラル・ハーモニーが宅配向けに売っている野菜は、そのすべてが「自然野菜」。河名氏が三〇年を掛けて研究を重ね、各地の生産農家と協力して作り上げてきたものだという。「自然野菜」と聞くと条件反射的に「無農薬有機野菜」をイメージしたくなるところだが、この二つ、実は根本的に相反するものだ。
　というのも、農薬を使わない点では有機野菜と同じだが、この「自然野　菜」の場合、化学肥料、有機肥料の別を問わず、肥料そのものを一切使わないというのだ。「有機野菜が身体によい」は、いまや広く世間に共有される一種の常識だが、河名氏はそれをはっきりと、「幻想」と言い切ってしまう。
　そもそも肥料とは、植物が成長するために必要な、窒素、リン素、カリウムの三つの栄養素を一定量含んでいるものを指す。そのうち、特に植物の成長促進剤的な役目を果たすのが窒素である。
「化学」であれ、「有機」であれ、植物の成長を早めるため、この窒素を農地に添加するという点では、二つの肥料は基本的に違いがない。そして河名氏は、その窒素の投下量と、継続される年数こそを問題にする。
　ナチュラル・ハーモニーで売られるホウレン草や大根。これらと有機野菜、市販の野菜を目で見比べたとき、まず明らかに異なるのは葉の色だ。葉が、ほかの二者に比べ明らかに淡い、柔らかい黄緑色に映えている。この色の淡さは、河名氏によれば野菜が取り込んだ窒素の量の少なさによるもの。つまり、私たちが普段食べる野菜の濃い緑は、野菜の葉そのものではなく、野菜が地中から吸い上げた肥料成分、すなわち窒素の色だというのである。

◆発ガン物質「硝酸性窒素」

　地中の窒素は、少量ならば植物の成長を助ける有益な物質。だがそれも、本来その土地に存在するはずのバランスを逸脱した、大量の窒素を添加した場合は異なる。作物の中で、「硝酸性窒素」と呼ばれる発ガン性の物質に変化してしまうのだ。これは、赤ん坊であれば、摂りすぎると酸欠で死亡することもあることから、ヨーロッパなどでは安全基準を設けている（日本の場合、水に含まれる「硝酸性窒素」の安全基準はあるものの、野菜に関しては未だ存在しない）ほどのものだ。
　そしてこの物質は、肉や魚の中に含まれる「アミン酸」という物質と化合すると、人間の胃の中で、「ニトロソアミン」と呼ばれるさらに強力な発ガン性物質を作り出す。
　日本中の多くの家庭で言われているであろう、「肉を食べたら、その分野菜もたくさん食べなさい」といった会話。だが、この「肉と野菜」こそ、まかり間違えば最悪の食べ合わせになりかねないということなのである。

第三回に続く（2008-06-16）

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