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明治神宮で菱田春草特別展、10月3日〜11月29日、宝物展示室で
明治神宮は10月3日(土)から11月29日(日)まで、宝物展示室で菱田春草の特別展を開催する。明治画壇の清冽な天才といわれる菱田春草の本格的な回顧展で、久しく公開のなかった、インドからの帰国後の作品「弁財天」や晩年のスケッチなども公開される。軸を中心に、色紙や書簡なども含めて全56点の予定。
菱田春草は、1874年(明治7年)、長野県飯田に生まれた。東京美術学校で絵画の諸技法を学び、明治31年には天心の指導で創立された日本美術院に参加。同院で、没線主彩の絵画表現の研究に取り組むが、画面が暗濁化する傾向を伴うこの表現は「朦朧体」(もうろうたい)と呼ばれ、当時の画壇から批判を受けることとなった。
明治36年、春草は天心の勧めで盟友横山大観とともにインドに赴き、翌年には天心・大観らとともに欧米を訪れ、東洋と西洋美術を見聞する機会を得た。
帰国後、大観と連名で「絵画に就いて」を発表、以前からの色調重視の表現をいっそう究めるべく専心するようになった。
明治40年からは、文展を主な舞台に活躍したが、ここ頃から腎臓を患い、また、眼病を併発して、療養のため、代々木に居を移した。
この代々木の地で、自然の実相に迫った、尊い美の遺産ともいうべき諸作品が生み出されることとなった。
残された生を燃焼させる如く、「落葉」「黒き猫」といった、美術史を飾る傑作を描いた春草は、ついに明治44年9月、慢性腎臓炎のため、代々木の地で36歳の生涯を閉じた。
世界でも類を見ない短時日で近代化を成し遂げた明治時代―その変革の渦の中で、日本画の未踏の境地を切り開いた春草。鮮烈な光芒を放った春草の画業が、終焉の地に程近い明治神宮の境内で、特別展として甦る。
(2009-09-29)
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