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あす10月7日、根津美術館が"新創”開館、伝統と現代性を調和させて

あす10月7日、根津美術館が

 改装のため休館中だった根津美術館があす10月7日、3年半ぶりにリニューアルオープンする。「新創」と位置づける新しい根津美術館は、隅研吾氏による建築と、ドイツ人デザイナー、ペーター・シュミット氏によるロゴマークに代表されるように、伝統と現代性の調和を実現させた美術館となる。
 建築家・隅研吾氏は、「表参道から美術館にいたるシークエンスは、茶室の路地であり、都市の喧騒から静寂なアートの空間へと、人々をカームダウンする大事な空間」と語る。そして、新しい根津美術館の施設は、「都市の商業空間と森の間に、緩やかな勾配の屋根が生み出す影によって、周囲の環境となだらかにつなげること」をコンセプトとしている。
 低く抑えた大屋根は、建物の内外に使われた竹素材と調和し、広いガラスを通して庭園の景観をも取り入れている。室内の透明性、自然素材の探求、日本の伝統の再生という3つのテーマを追求してきた隅氏にとって、その集大成とされている。
 庭園も含めて2万1625平方メートルの広大な敷地に、地上2階、地下1階、延べ床面積4014平方メートルの新しい本館を建設。展示室面積は1288平方で、従来の1・6倍に広がり、先端技術を駆使した展示装置や照明によって、作品をじっくり鑑賞できる空間を作り出している。
 施設の構成は、本館1階にはホール、展示室1(企画展示)、展示室2(書画)、展示室3(彫刻)およびミュージアムショップ(57平方メートル)を配し、2階は展示室4(青銅器)、展示室5(工芸)、展示室6(茶道具)。地下1階は講堂となる。
 ほかに、日本庭園にはNEZUCAFE’(168平方メートル)、弘仁亭はじめ4つの茶室を配している。
 リニューアルオープンから1年間は、8回にわたる「新創記念特別展」を開催する。オープニングとなる第1部は、「新・根津美術館展」と題して、10月7日(水)から11月8日(日)まで開催し、国宝「那智瀧図」を中心に構成する。
 オリジナル商品を揃えたミュージアムショップ、歩きやすく整備された日本庭園、その緑の中に新しくオープンするNEZUCAFEなどともあわせて、来館者に美術や自然に身をゆだねる、充実した時と空間を提供していく。
 根津公一館長は「今回の新創事業は、安全かつ最適な環境で作品を保存するために、収蔵施設を改めることからスタート。展示・保存・環境の課題に対する様々な工夫の成果としての新しい根津美術館が、今日の美術館のあり方を考える上での、ひとつの指標となれば幸い」としている。
 根津美術館は、東武鉄道社長はじめ実業家として知られ、美術収集家としても著名な初代根津嘉一郎氏の遺志により、コレクションを一般に公開するために、1941年(昭和16年)、南青山の根津家屋敷内に開館。以来、約70年にわたって、日本、中国、朝鮮を中心とする東洋の優れた美術品を展示する美術館として、高く評価されてきた。
 また、広大な日本庭園を有する都会のオアシスとして多くの人たちに親しまれるなど、国内外から高い評価を得てきた。「那智瀧図」「燕子花図屏風」などの国宝7件、重要文化財87件を含む約7000件の古美術品を所蔵している。
 
(2009-10-06)

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