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軽妙洒脱にトーク&文筆へも ラジカル鈴木さん(イラストレーター、装丁家)

軽妙洒脱にトーク&文筆へも ラジカル鈴木さん(イラストレーター、装丁家)

 「イラストレーターになりたかった」という憧れの職業は、1989年、いち早く導入した「マッキントッシュ」によるコンピューターグラフィックによって激変。ポップ調のユーモラスな作風と、28歳の頃から名乗り始めた“ラジカル鈴木”のネーミングが、絶妙のバランスを発揮して軌道に乗っていった。103キロから80キロへの大減量作戦も成功し、40歳を目前にして花嫁を迎え、一人娘も授かった。
その間の“ドラマ”は昨年、「男の食いしんぼダイエット」「ラジカル式にんにく本」と、2冊の本にして出版。これも話題になった。「来るものは拒まず」の精神で、広げに広げたレパートリーはさらに広がり、「もっと自由に」と、軽妙洒脱な文筆とトークに、いっそう磨きがかかる。

 ラジカル鈴木の描くイラストは、ひと目でそれと分かる。題材は、まさに「何でもござれ」だが、人物に最大の特徴があって、マン丸顔の愛くるしい”大顔“は、印象的という範疇をはるかに超えて、一度見たら誰しも忘れられないだろう。
 本人にしてみれば、「顔を描きながら、この惹かれてやまない永遠の研究対象の、あらゆる考察をおこなっている」のであって、「いずれは、まとまって発表されることでしょう」という。
 作風には、時代背景からみて、日本のポップカルチャーの影響は、多少はあるとはいえ、「オタク文化とは一線を画し、もっとあらゆる異文化に向けて、無国籍に開けている」。そして、「世界におびただしい数のフォロワーを生み出したが、未だにクォリティと持ち味で“ワン・アンド・オンリー”の存在であることは揺るがない」と自負する。
 06年に文化庁メディア芸術祭10周年企画「日本のメディア芸術百選」に、手がけた代表作「大顔展」ポスターが選出され、評価は定まった。

 「趣味が高じて」という、雑誌・WEBなど様々な媒体での、イラストと文章による連載経験は数多い。絵を見せながらの映画のレクチャーにも乗り出しており、シネマトゥデイの「ネットをにぎわすあの人」も、その一例だ。
 11月19日(木)には、「アースフェスタ・せたがや」の一環として「シネマ高井戸」で、作品上映の合間にハイブリッド・コピーライターの竹島靖氏と、「食」についてのトークショー。
 また、海外のカルチャー&旅のWEBマガジンにも登場。ベルリン在住のドイツ人記者の「なかなか気合の入ったインタビューに、英語で答えて、多面的に捉えた良い記事になった」。
 
 これから発表される仕事では、中村うさぎさんのWEB連載エッセーが単行本にまとまり、12月16日に発売。このタイトル¥&カバー画も担当する。
 書籍との関わりでは、「太宰・清張を描く装画の力展」への参加も見逃せない。生誕100年を迎えた太宰治・松本清張の名作をテーマに、20名のイラストレーターが装画を描き、1つの作品を3名の装丁家が書籍カバーに仕立て上げる。「そんな画期的なデザイン実験をお見せしたい」と意気込む。日本図書設計家協会が主催し、11月18日から12月18日まで、神田錦町の竹尾見本帖本店で開催。11月25日には、出品者スペシャルトークで、テレビ、ラジオ出演で鍛えた“シャベクリ”も披露する。

 「1010」と書いて「せんとう」と読む。銭湯のことで、浴場組合の機関誌名だが、ここに登場したルポが秀逸。趣味は徒歩と自転車での銭湯巡りだけに、「渋谷周辺ですでに50軒は回った」と豪語し、「サウナとも併せてルポライターをやりたい」。
 飲み歩きでは、渋谷駅に近い宮下公園脇の「のんべえ横丁」を愛する。「昔からある店に惹かれる」のは、銭湯にも通ずる。渋谷に住んで15年。「渋谷に貢献したい」と、どうやら本気で文筆業に乗り出す構えだ。
 
 1966年、埼玉県春日部市生まれ。この11月7日で43歳になったばかり。父は旅行会社経営、3人兄弟の兄2人はいずれも社長の道を歩んだが、末弟の本人は、絵心のある母親の影響もあり、「3歳の頃から絵ばかり描いて、外で遊ばず」の生活。座右の銘は「毎日が発見」「未知にチャレンジ」だ。
(2009-11-18)

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