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青山・岡本太郎記念館で回顧展

　「芸術は爆発だ！」の意味がここにくればよく分かる。青山骨董通りから中に入る途端、不思議な空気が漂い出す。そこにあるのは異彩を放つ建築物。設計はル・コルビジェの愛弟子・坂倉準三。庭にはバショウの木などが生い茂る中、様々なオブジェが立ち並ぶ。そう、ここは岡本太郎記念館である。
　１９９８年に岡本太郎が５０年近く生活したアトリエ兼住居を解放して誕生した岡本太郎記念館は、開館以来３０もの企画展を行ってきた。それら全て取り仕切っていたのが養女の岡本敏子さんであった。その敏子さんが今年の４月２０日に亡くなられ、追悼の意を込めて今回の『岡本敏子のメッセージ』展は開催された。
　特別展示室での今回の企画展は、かつて行われた企画展を振り返る、つまり「敏子さんの３０の視線を体現する回顧展」としての意味合いが強い。そのため、いかにも岡本太郎というような作品から、トランプをデザインした時の原画やマン・レイに手ほどきを受けた写真などの様々な作品に出会うことができる。
　アトリエは生前の状態からほとんど手を加えていないそうで、画架にかかる絵画や、筆が無造作に並ぶ机、絞りだされたままの絵の具などの岡本太郎の痕跡を見ると、まるで目前に蘇ったかのような錯覚に陥る。また、サロンには、自ら型に入り作った岡本太郎像から、様々な家具やオブジェが展示されている。
　どの作品もエネルギーに満ち満ちており、あまりの迫力に思わず圧倒されてしまう。「作品に吸い寄せられる暇がないほど迫りくる」と言うような生命力に溢れた空間。ここには岡本太郎が生きているのだ。
　また、行方不明だった巨大な壁画・『明日の神話』の修復作業の目処が立ち、来年の７月に日テレ本社ビルにて公開される予定。この作品は、メキシコのホテルオーナーの依頼で制作した壁画であった。しかし完成間近に、オーナーの死去やホテルの倒産という不幸が続き、壁画は行方不明になっていた幻の作品だった。２００３年にようやく岡本敏子さんが発見し、この修復プロジェクトが動き出した。そんな『明日の神話』の公開はまさに、世界的一大イベントなのだ。これに先駆け、来月ＮＨＫではアーティストの石井竜也さんを迎え、特別番組を４本放送する予定。今後も岡本太郎から目が話せない。
　『岡本敏子のメッセージⅠ』展は１２月２６日まで。来年、１月５日からは『岡本敏子のメッセージⅡ』展が始まる。入館料６００円。写真撮影可。
岡本太郎記念館（2005-10-13）

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