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パリの街角:日曜日の午後

パリの街角:日曜日の午後

プレタポルテ・コレクションや、ルイ・ヴィトンの世界最大規模のブティックがシャンゼリゼにオープンして幕開けたパリの10月は、ほとんどの週末お天気に恵まれた。
気候は湿度が低いこと以外東京と似ているパリだが、北緯48度と東京よりもかなり北に位置しており日ごとに日照時間が短くなっていく。パリの人たちはそんな中、秋の陽射しを求めて週末戸外へ出かける。土曜日はデパートなどへ買い物に出かけても、日曜日は宗教的な背景もあってレストランやデパート・ブティックなどほとんどの店が日曜日しまっているため、日曜日にお買い物ということはない。(例外的にクリスマス商戦や夏と冬のソルドなど特定の日曜日にお店が開いたり、観光客の多いシャンゼリゼなどにお店が少し開くくらいである。)では人々は日曜日何をするのかということになるのだが、日曜の午前中は通りや市場に昔ながらに立つ市へカートを引いて生鮮食料品を求めに行き、(このカートには抵抗があったが、若いご婦人方も愛用しており、必需品。)秋晴れのうら暖かい午後には、そこで買ったチーズやパテとワインを片手に親しい仲間や家族が集まってピクニック気分であちこちにある公園にくりだす人が多い。
その後の公園の散歩は、老若男女問わず日曜の午後のポピュラーなアクティビティーになっている。別にホットドック屋さんや出店が並んでいるわけでもなく、公園にひとつくらいスナックのスタンドがあるだけだ。心地よい陽射しをうけながら話に花を咲かせながらゆっくり散歩するというのがパターンで、老夫婦が手に手をとってゆっくりと歩いていたり、乳母車を引きながら犬と一緒に歩いているファミリーや、ローラーブレードや自転車で楽しんでいる人たちがいたり、本を片手に公園のベンチで日向ぼっこしながら静かなひと時を過ごす人がいたりと、スタイルも様々、自分なりの優雅な時間を過ごしている。
また、公園それぞれに趣が異なるのは面白い。ソルボンヌ大学などのあるカルチェラタンに近いリュクセンブルグ公園では、賢人の石膏像の下で語らう知的な老夫婦や、公園においてある椅子を輪にしてディスカッションしている学生など、哲学的な雰囲気が味わえる。そして落ち葉が敷き詰められた通りを歩くと、有名な哲学者を生み出した素地を感じるのである。
パリのど真ん中、ルーブル美術館からシャンゼリゼへ抜ける途中にあるチュイリュリー公園は、観光客も交えた人の波だ。そこからそう遠くないセーヌ河のほとりをエッフェル塔を見ながらゆっくり散歩する人たちもいる。
パリのはずれにあるブローニュの森は、週末は駐車の列が出来るほどである。そのなかにあるマリーアントワネットも行ったという今ではパリ市の経営になっているバガテル公園では、孔雀の親子が放し飼いにされており、のんびりと人目を気にせずに夕方の散歩に興じている。
 日曜の午後、気軽でリッチな気分にひたれるひと時をパリの人はエンジョイしている。
(パリ在住 鈴木典子)
(2005-11-01)

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